偽9番の話。
最近流行りの『偽9番』について。(自分もぼんやりしていたから勉強も兼ねて)
要はフォーメーション的に説明するとゼロトップということ。これはよくローマでトッティや、日本代表でも本田圭佑が担っていた役割。実際これが戦術的にどのような意味を持ちチームにどのようなメリットをもたらすかを考える。自分なりの見解も含めて。
ゼロトップは昔から存在するといえばするが実際に『偽9番』という名を世間が知ることになったのはグアルディオラ率いるバルセロナだろう。役割を担っていたのはもちろんメッシ。
9番というのは大方点取り屋であり最前線でプレーしうるフォワードのことを指す。それが『偽』ということはそのプレー範囲を最前線に留めない、中盤まで下がることにより相手のDFの役割を混乱させることに意味がある。
具体的には、『偽9番』が中盤に降りてきた際に相手DFがついて来るようならその分空いたスペースに二列目の選手が飛び出していく。相手DFを引き連れなくても中盤の枚数が一時的に増え相手の中盤を支配させない、といった感じ。また相手DFは一時的にマークを見失うのでビルドアップ時に効果を発揮する。
では実際どのような選手がその役割を担う事ができるかというと実はどんな選手でもいい、『点取り屋』なら。
結局は相手の最終ラインに警戒させる必要があるのでそれなりの点取り屋である必要はある。
と、思っていたのだがその考えを覆したのが(というより自分の考えが間違っていたという事だが)ナポリのメルテンス。
ナポリには同ポジションに絶対的エースのインシーニェがいるため出場機会に甘んじていた。そんなサイドハーフがCFにコンバートされ完全にフィットした。
これは2017/10/14のセリエA第8節vsローマにおけるナポリの布陣。本田圭佑の時もそうだが『偽9番』を機能させるには当然4-3-3が適切である。
この試合アウェーながらローマを0-1で下すのだが、基本メルテンスは何もしない。身長も低く最初は3トップのCFとして前線で張っているのだがポストプレーができるわけでもないのでとりあえずローマDFも視野に入れておく程度。むしろサイドにポジションを取ったインシーニェが裏に抜け出すは中に切り込んでくるはで結局前半のうちにそのインシーニェに切り込まれ失点する。
先ほど紹介したような役割とは少し違うがここからメルテンスが本領を発揮する。
失点のこともありインシーニェとハムシクのラストパスに気をとられるローマDFをよそに面白いくらいメルテンスが裏へと抜け出しペナルティエリア内に侵入する。結局追加点には結びつかなかったものの最終的にローマDFは崩れ、さらに前線や中盤を自由に行き来するメルテンスに翻弄されなす術なしといった感じ。(最後のパワープレーはレイナが頑張りました。)
これはもちろん成功例だが当然うまくいかないこともある。
チームは違うが2018/03/05、シティと対戦したチェルシー。
この試合、結果だけみれば1-0なのだがチェルシーはシティ相手にほとんど何もできていない。というのもこの試合おそらくアザールが『偽9番』の役割を任されていた。
しかし、両翼のウィリアン、ペドロが思うように裏に抜け出せず機能しなかった。
失敗の理由は明確で本来中盤のアザールがワントップとなった時点で誰にでもその役割が丸わかり、ウィリアンもペドロもサイドで勝負したいタイプであまり中に絞ってこない、おまけに相手はグアルディオラ。(『偽9番』の創始者相手に何考えてんだ、と言わざるを得ない。)
対策は簡単で全体のラインを下げれば良い。中盤が若干空くがおそらくペップはシルバ、デ・ブライネ、ギュンドアンに相当な信頼を置いているのだろう(自分でもその3人ならなんとかなるっしょwってなるし。)
後日談だがアザールはこの日ボールにほとんど触れずチームを離れたい的なことをにおわせたとか匂わせてないとか。。。
『偽9番』の話はこんなところ。今の日本代表の布陣にフィットするかどうかはわからないが本田圭佑はかなりこの役割としてはうまくいっていた方なんだと思う。当時は何も思ってなかったが。
〜コラム〜
ずっとまじめに書いてても面白くないから小ネタでも。
・元ルーマニア代表のムトゥ(懐かしw)がモウリーニョをボロクソに批判しているのは昔からなんだけど(モウリーニョ監督時代にコカイン陽性反応が出てチェルシーを解雇されている)、そのムトゥが「イブラは怪我なんかしてないよ。モウリーニョと喧嘩してるのさ。」と言ったとか言ってないとか。イブラの去就はいかに。
次はシャフタールの話するかも。